大判例

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福岡高等裁判所 平成7年(行ケ)5号 判決

原告

前田勝茂

右訴訟代理人弁護士

松岡肇

被告

佐賀県選挙管理委員会

右代表者委員長

白仁美全

右指定代理人

寺町博

山口誠悟

山口清孝

事実及び理由

第四 判断

一  地方公共団体の議会の議員の当選の効力に関するいわゆる当選訴訟(法二〇七条)は、選挙会による当選人決定の適否を審理し、これが違法である場合に当該当選人決定を無効とするものであるから、当選人に当選人となる資格がなかったとして、その当選が無効とされるのは、選挙会の当選人決定の判断に法の諸規定に照らして誤りがあった場合に限られるところ、前示のとおり、議長は地方自治法一二六条但書に基づき原告の辞職願を許可し、辞職願受理通知書を原告の自宅で妻に交付するとともに、市選管に対し法一一一条一項三号に基づく欠員通知をしたこと、市選管は選挙長に対し同条二項に基づく欠員通知をしたこと、選挙長は法一一二条五項に基づき繰上補充の選挙会を開き、議員の欠員を理由に、法九五条一項但書の規定による法定得票数の得票者で次点の草場利秋を当選人と定め、法一〇一条の三、一項に基づき市選管に対しその旨の通知をしたこと、市選管は同条二項に基づきこれを告示したことが明らかであり、選挙会の当選人決定の判断に法の諸規定に照らして誤りがあったとは認められない。

二  原告は、選挙会の当選人決定の判断それ自体に過誤がなくても、その判断の前提ないし基礎をなしている原告の辞職が無効であるからには、選挙会の当選人決定の効力もその存立の基礎を失い無効と認めるべきであると主張するが、選挙会の当選人決定の判断に誤りがないのに、かかる事由を原因として繰上補充の当選を無効とすることは、実定法上の根拠がないのに当選無効原因を設定することに帰し、法の予定するところではない。したがって、原告の辞職が無効であることは、当選訴訟における当選無効の原因とはならないというべきである。

仮に、そうでないとしても、前示事実と〔証拠略〕によれば、原告は当時接見禁止付で身柄の拘束を受けていたが、辞職願を自署により作成し、これを弁護士に交付し、妻をして議会に提出させたこと、辞職願自体も「一身上の都合により辞職しますので承認下さい。」とあり、そこに何らの附款も記載されていないこと、議長は、当時議会が休会中であったので地方自治法一二六条但書に基づき自ら辞職を許可したこと、議長は議会事務局職員をして辞職願受理通知書を原告の自宅で妻に交付したことが明らかであるから、辞職は有効であり、辞職が有効に効力を生じたのち、辞職願を撤回しても、既に生じた辞職の効果が覆るものでもない。また、議長は辞職願を受理するにあたり必ず本人と面接しなければならないと解すべき根拠もなく、右認定の辞職願の提出経過、記載の体裁に照らすと、議長が原告と面接することなく辞職願を受理したことが辞職の無効原因となったり、辞職願の受理手続の違法原因となったりするものではない。原告は、右認定判断に反し、辞職は無効である旨るる供述しているが、それ自体、不自然、不合理であって、到底採用することができない。

三  よって、本件当選人決定を無効とする余地はないから、原告の請求を棄却し、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法八九条を適用して、主文のとおり、判決する。

(裁判長裁判官 田中貞和 裁判官 宮良允通 野崎彌純)

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